コンビニ人間

吉田ろくです。
今日は村田沙耶香さんの『コンビニ人間」を読みました。

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

 

私は普通を見上げて生きてきました。
普通に生きているみんなからしたら、私は何故か下にいる存在のようで、どうにかそれに近づこうと、ずっと上を向いて生きてきました。
観察を続けた結果、昔よりは普通の人間に見えるらしく、なんならいつのまにか水準よりも上に到達していたらしく、周りには自然と人が集まってくるようになりました。
ですが私はそれが心地悪く、いつかもとのいるべき場所に戻される恐怖で、上にいる人間の模倣するのが億劫になりました。
この感覚を理解してくれる人は誰もいないのか、長年の願いはこの小説の主人公によって解決されました。
そしてこの小説が世界で広く知られているのは私にとって喜ぶべきことかもしれません。
事実を淡々と喋ることしかできない。社会で何か役割を与えられなければ生きている心地がしない。
このことを面白がれる世界が、彼女にとってはコンビニだったのではないでしょうか。